福永 光一 Koichi Fukunaga
ディレクターコンサルタント
経歴
- 1974年、東京大学大学院工学系研究科情報工学専門課程(修士)修了後、(株)三菱総合研究所に入社。官公庁の受託研究や各種ソフトウェア開発に従事。特に、通産省の補助金を得て、プログラム検証系などの研究を実施。
- 1983年、日本アイ・ビー・エム(株)入社、東京基礎研究所にてソフトウェア工学、エキスパートシステムの研究を行い、日本の製造業初の実用エキスパートシステムを開発。ACM, IEEE等の国際的に著名な学会のConferenceや情報処理学会誌等に論文を発表。
- 1989年から1990年にかけて、米国IBM T. J. Watson Research Centeのコンピュータ・サイエンス担当バイス・プレジデント補佐として研究管理に従事する。
- 1991年、東京基礎研究所コンピュータ・サイエンス・インスティチュート部門長。コンピュータ・サイエンス全体の研究を指導。
- 1985年から1994年にかけて情報処理学会編集委員、日本ソフトウェア科学会理事など、各種学会委員を多数歴任。
- 1991年早稲田大学博士(工学)。
- 1994年、開発製造部門マルチメディア事業推進部門長として新規ビジネスを立ち上げ。
- 1995年、コンサルティング部門に異動。CRM/BI領域のビジネス開発を行った後、製造業のお客様に対して、商品ポートフォリオ管理、設計、SCM、購買、等のエリアでの業務改革をを行う。
- 2003年 IBMディスティングイシュト・エンジニア(技術理事)就任。
- 2003年IBMビジネスコンサルティング サービスのパートナーに就任、特定顧客に対するコンサルティング・ビジネス開発を行う。
- 2002年から2009年まで九州工業大学大学院情報工学部非常勤講師および客員教授。
- 2007年から法政大学ビジネススクール客員教授。任期満了に伴い、現在同兼任講師。
- 2009年から日本オラクル(株)インテグレーテッド・ソリューション推進統括本部長として、新規アプリケーション・パッケージをベースとしたコンサルティング・ビジネスを立ち上げ。
- 2011年7月、O-Flexビジネスコンサルティング代表。
コンサルティング分野
1)SCM改革
- 生販在各部門スコアカードによる管理
- 生販在計画プロセス改革・IT設計
- 販社販売計画精度向上
- 生産子会社リードタイム分析・短縮
- 物流リードタイム分析・短縮
- 部品カテゴリー別調達方式設計
- 在庫分析方式設定
2)購買改革
- 部品カテゴリー別管理体制確立
- 購買ベストプラクティス知的資産構築
- 各部品カテゴリー別コストダウン支援
- コストダウン方法論構築
- 中国購買センター構築支援
3)商品ポートフォリオ管理・設計改革
- 商品ポートフォリオ管理プロセス構築
- 部品共通化の仕組構築
- 品質管理の仕組構築
- 部品表データモデル構築
4)CRM/BI
- CVM (Customer Voice Mangement)
- BIデータモデル構築支援
コンサルティング実績
【商品ポートフォリオ管理プロセス構築】
- 電子部品会社の携帯電話部品事業の受注上の問題を解決
- 当時最大の携帯電話メーカーであったNOKIAからの受注が激減していた問題を、営業のメールに至るまで洗いざらい分析し、エンジニアのキャパシティを超える応札による設計スピード低下が原因であることを実証し、営業にも納得させ、さらに応札範囲を絞ることをNOKIAにも承認してもらう。
- その結果を受け、商品ポートフォリオ戦略を確立し、それに基づいた応札管理プロセスを確立。
- 応札範囲を3分の2にした結果受注確度が2倍になり、受注率が20%から60%に向上。
- この結果は社長に激賞され、そこで整理した改革方法論が別の事業にも横展開された。
【購買改革プロジェクト】
- 電子機器メーカーの製品中心の購買体制を部品中心の購買体制に変革。
- 当初のお客様の要請は部品中心の購買プロセスの構築であったが、変化の早い電子機器業界でプロセス構築のみに時間をかけるのはビジネス上好ましくないので、実際にコストダウンを実行しながらプロッセスを構築することを提案し、各部品カテゴリーのコストダウンを実際に支援した上で、その結果をコストダウン方法論としてまとめる。
- 対象金額数百億に対し2桁%(お客様当初計画の倍)のコストダウンを実現し、お客様チームは設計部門以外としては初の社長賞を受賞。
- 同様の購買改革を他社でも実行し、同じく2桁のコストダウンを実現し、同様に社長賞受賞を実現。
【SCM改革プロジェクト】
- 電子機器事業部でBest Buyへの納入リードタイムが8週間かかるため、Worst Supplierと呼ばれていた問題を解決。
- この事業部は、以前にIT導入中心のSCM改革で失敗していたため、全体の合意形成が難しいことが予想された。そのため、プロジェクトの中心となる生産管理部門の問題を自責として解決し、その上で販売部門を巻き込むと言う方針をとった。
- 国内および東南アジアの生産子会社の生産リードタイム分析をもとに販社の最大の不満である納期遵守率の向上を実現した上で、実質月次の生販在管理プロセスを週次に変更し、週次で欠品を起こさないための必要在庫、クリスマスシーズンやキャンペーン用の戦略在庫等が管理できる仕組を構築。並行して、国内販社で販売予測制度を向上させるための情報分析を実施。
- 物流リードタイムの短縮等も実現し、IT化された週次の管理プロセスが実働してしばらく立った頃にリーマンショックが発生したが、必要在庫や戦略在庫が管理されていたため、営業が読みを外した分の在庫が把握でき、迅速に生産にブレーキをかけることができた。その結果、翌年春には他社に先駆けて新製品の増産に踏み切れ、シェアが拡大できた。この結果に対して社長賞が授与された。
【部品表構築プロジェクト】
- 当案件は、部品表が実質的にスプレッドシートで管理されている状態を効率化すべきだとして情報システム部が上申したが、二度に渡って却下され、最終的に事業部トップの専務からクライアント担当である私に面倒を見てもらえと指示があり関わることになったもの。情報システム部の上申内容は、スプレッドシートの転記の手間や誤記をなくせば大幅な効率化が図れ、投資対効果があがるというものであったが、浮いた工数の有効活用案が伴わなければ、単独で投資にGOサインをだすことはできない。そこで、全社のビジネスと部品表の関わりをすべて分析することにした。
- 具体的には、本社と生産子会社の原価情報や手配情報の受け渡しの食い違い、製品プロジェクト間の品質情報の再利用状況、部品共通か状況等を調査し、たとえば本社と子会社の原価情報の統一だけでも大幅な費用削減が可能なことを実証した。
- この結果が示すのは、当初情報システム部が予定していた部品表管理パッケージを導入するだけではビジネス効果は上がらず、その周辺に原価管理、品質管理、部品共通化のための情報を統合すべきということである。これをうけて、これら周辺情報をも含めた部品表管理のためのデータモデルを構築した。
【解説論文】
以上のようなコンサルティング経験をまとめ、情報処理学会デジタルプラクティス誌に「コンサルティング論 : 人の問題を解くということ」というタイトルで解説論文を書いています。
参照いただければ幸いです。